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人権擁護法案

NHKの派閥バランスが崩れている

もしかしてエビジョンイルは必要悪だったんだろうか?
4月2日に放送されたNHKの「日本の、これから」という討論番組を見て、その微妙な香ばしさと、薄っぺらい内容に愕然としてしまったのだけど。NHKまじヤバイ。おかしな事になってます。
R30::マーケティング社会時評さんもその番組に言及していてオッと思ったんですが、あまり「NHK」にフォーカスした話ではなかったので、ちょっとその視点から言及しておきたくなりました。
NHKの「派閥の構図」について自分が興味を持ったのは、かんべえさんのところでこんな記述を読んでからです。以下 2005/1/20 「不規則発言」より抜粋。

○そうかと思うと、こんなタレコミもあったりして。
基本的には、報道局番組制作局という2大勢力があり、供給側の論理で、派閥争いをしてるんですね。で、ここは、お互い不干渉だったんですが、海老沢会長になってから、報道局の番組制作局への介入が活発になったんですね。そのコンテクストで見ればいいんだと思います。基本的には、報道局→総合+BS1 番組制作局→教育+BS2で、両方をまたいだ頂点にクローズアップ現代Nスペがあります。

要するに、報道局(総合+BS1)vs制作局(教育+BS2)の二項対立が基本にあると。んで例のETV2001『問われる戦時性暴力』」を作ったのも制作局で、涙の会見をしたプロデューサも制作局。わかりやすく言うと、制作局=左寄り、報道局=右寄りみたいな傾向があったわけです。
で、そんな情報が脳裏に残ってたんですが、その記憶がまだ新しかった1月23日に、今度はフジテレビ報道2001にてNHK朝日問題で渦中の中川昭一議員がこんな発言を。以下愛・蔵太さんのところのテキストより抜粋。

黒岩:NHKの、だからそういう、まあ、公式的に言った訳ではなくて、つまりは番記者にね、「ちょっと」と言ったときに、そういう言い方のときに、ニュアンス、言い方のニュアンス、ちょっと強い言い方になると、NHKの記者の方が政治的圧力と感じて「これは大変だ」といって、社内でわーっと大騒ぎしたということ、これはあり得るシナリオではないでしょうかね?
中川:いや、まあ、可能性は否定しませんけれども、一々、記者さんと話してですね、別に怒鳴った記憶もございませんし、強くその変更を求めた記憶も全くございませんから。その、私が言っているのは、その「なかったと100%言えるだけの記憶がない」と言っている訳で、私はなかったという可能性の方が極めて高いと思っておりますから、そのへんを前提にですね、それでもってまた政治部報道局とですね、番組制作局違う訳ですから、ご存知のように。そこにですね、はね返っていって制作を変更したということは私はなかった。なぜならば、19日から、あの、この番組の制作の色んな検討が行われているという風にも聞いておりますから。

つまり、「報道局と違うから制作局に圧力なんかかけられない」と暗に示唆してるわけですな。これはこれでかなり脇の甘い発言なんですけどねw。で、中川氏は「ご存知のように」と言ってますが、一般の国民はそんな事普通知らないわけで、これはおそらく黒岩アナウンサーに向けて言ってるのだと思われます。つまり言い換えると、民放社員でもNHKの派閥構造はある程度周知の事実だったと推測されます。
とにかくこの中川氏の発言で、なるほどNHK内部での報道局-制作局の対立ってのはどうやら本当らしいと、自分の中で確信を深めたわけです。
さて、ではそのコンテクストで海老沢会長辞任を考えてみると…。
これはNHK内左派の壮大なリベンジ、という意味合いがあったわけですな。海老沢氏が辞任した(海老沢色が一掃された)時点でNHK内部で報道局派(保守派)は壊滅的ダメージを負い、逆に制作局(左派)の影響力が急激に増大した事が容易に想像できます。
実際、海老沢氏が経営委員会で辞任を示唆したのは今年1月11日。それからというもの、
1月22~23日 NHKスペシャル「どうする憲法、国民に問う」
3月28日 クローズアップ現代「国旗国歌・卒業式で何が起きているのか」
今回の4月2日~ 新番組「日本の、これから」
と、番組の左傾化が目だって顕著になってきます。
1月に放送されたNHKスペシャル「どうする憲法、国民に問う」は、微妙に香っていたというか、とりあえず番組の様子は『あんた何様?日記』さんから抜粋。

『NHKスペシャル・シリーズ憲法(2)・徹底討論どうする憲法9条』を見てるんですが、
9条改正反対派代表が、評論家の加藤周一だし、
社民党代表が土井たかこだし、
しかも、反対派にばっかり喋らせて全然公平じゃないし、
反対派の主張は理想論ばかりだし・・・。

※ちなみにこの時民主党からは元社会党の仙石氏が出演した様です。
3月28日のクローズアップ現代「国旗国歌・卒業式で何が起きているのか」では偏向具合がかなり酷かったようで、自民党からクレームが。詳細は毎日新聞の記事から抜粋。

<NHK>都議会自民党 番組の内容細部に「遺憾」コメント (毎日新聞)
 NHKが3月28日の「クローズアップ現代」で放送した「国旗国歌・卒業式で何が起きているのか」に関し、東京都議会の自民党会派は5日、「公正公平を基本とすべき公共放送の報道姿勢として大変遺憾なこと」などとするコメントを発表した。
 番組は、都立高校の卒業式で国歌斉唱や斉唱時の起立が教諭に義務付けられていることをテーマに、午後7時半から約30分間放送された。今年の卒業式でこうした都教委の方針に従わなかった50人が処分される見通しであることを取り上げたうえで、戸惑う現場の教諭らの声や都教育長のインタビューを紹介した。
 コメントは「都教委の指導は『強制である』との前提に立った論調で、著しくバランスを欠いたものと言わざるを得ない。あえて反対する教員の声だけを取り上げ、あたかも教職員と都教委が敵対しているような内容や構成になっている」としている。
 NHK広報局は「番組では職務命令を受けた教師の意見を伝えるとともに、都教委の考え方も丁寧に伝えており、公平、公正な番組内容だと考えています」との談話を出した。【猪飼順】

NHKスペシャルにしろクローズアップ現代にしろ、先にご紹介したかんべえ氏のところのタレコミで言えば両派閥の頂点に位置する番組だったはずなのに…今では完全に制作局派に籠絡されているわけですな。ちなみにクローズアップ現代の件についてはmumur氏のBlogでも取り上げられています。
 
そして、4月2日の「日本の、これから」も、制作局(左派)復権の流れに沿った番組、という印象が強かったのは確かでした。はっきり言って番組の中身に関してはあまり語るべきものは無かったんですが、とりあえず、こんな中身の薄い番組が土曜夜のゴールデンタイムを3時間もかけて放映される時点でNHKはやばいです。
ゲストの人選もかなりお粗末で(どーいう意図の人選だったのかさっぱり判らん)、ほりえもんで視聴率稼ごうという意図が見え見え。
特に、VTRの中でフリーターが「夢を買う」と言ってライブドアの株券を2枚だけ購入するというシーンには閉口してしまいました。こんな露骨なヤラセに視聴者がだまされると思ったんでしょうか。ほりえもんは喜んでましたが。視聴者の発言を重視した番組演出も考えてみればとっても「教育テレビ」的です。『しゃべり場』なんか典型的ですよね。
うーん、今後のNHKが正直非常に心配です。目が離せません。明らかにバランスを失ってます。おそらく今はNHK開局以来類を見ないほど「制作局」の力が強まってると思われます。
とりあえずR30氏のエントリー最後のセリフ

いい加減に受信料払うの止めるぞコラ。

この一言が全てを表してますな。番組見終わった直後、私も全く同じ事を思いました。

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