ブログ時評のエントリー『ブログの現状はそれほど素晴らしいか』で団藤保晴氏の主張がまたまた物議を醸している。
団藤氏へのツッコミは他の切れ味鋭い皆さんにおまかせして、ちょっと「ブログの現状」について考察してみたくなった。
ブログ時評関連で、いろいろなサイトを見ていてちょっとココが気になった。
du@docozo 『ブログにより検索結果の質は下がっているか 』
以下抜粋。
確かにブログの中だけを取り上げればページランキングが高いページの方が質が高い傾向はあろう。しかし問題はそこではなく、ブログと非ブログの間で評価をランキングに反映させる上での差が生じているのだ。
正直言って愚にもつかないブログの記事によって、地道に評価を稼いで来たはずの非ブログ系のサイトの記事が埋もれて行くのは残念極まりない。
要するに、「ブログ-非ブログ間の検索順位格差はどうよ?」という問題提起である。これはなかなか着眼点としては面白いと思った。
ブログが非ブログサイトに比べて検索順位が高めになるのは事実だ。これには幾つかの理由がある。
(1)トラックバック機能によるリンク相互依存度向上
(2)フルCSSデザインによってクローラーとの親和性が向上
(3)大手Blogサービスを利用する事により、ページランク評価上有利になる場合がある
(サービスのTOPページから各ユーザページが様々な形でリンクされる、ドメインのrootページが既に高いページランクを得ている、など)
キーワード検索の場合、実は上記(2)の影響が最も大きい。SEO的な話になってしまうので詳細は言及しないが、興味のある方はこの辺を見てみるといいかも。
で、ブログ-非ブログ間で検索順位格差があるという指摘は一理あるんだけれども、実はそういう議論は結構前から行われてたりする。2ちゃんねるのWEB制作版に『ブログってウザクないか?』というスレができたのは約1年前だ。以下抜粋。
1 :Name_Not_Found:04/04/25 08:02 ID:???
最近、googleでネットを検索してもやたらブログ系ばかり釣れてウザイ。
たいしたネタも無いクソガキどもが、トラックバックで馴れ合ってるせいで検索エンジンでドンドンランク上がっていくし。
全てのブロガーがそうだとは言わんが、マジでウザ過ぎる。
↑と、俺は想うのだが意外とネットでブログに否定的な意見をあまり見かけないので、諸兄の意見を伺いたくスレを立ててみた。
このスレも当初は活発な議論が為されていたような記憶があるが(うろ覚え)、今もWeb制作版にあるスレPart3はすっかり盛り上がりに欠けてしまっていて、このネタは既に「終わった議論」という感がある。
まあこのスレに関して言えば一昔前の「携帯電話否定論」みたいなもんで、使い勝手の良さとシステム設計の先見性をもってこれだけ爆発的に普及してきたブログを、いまどき十把一絡げに全否定したところで「それは違うよね」で終わるだけなんだろう。
非があるのはブログではない。ブログがもたらしたネット界の新しい波は、既存のネット資産にも否応無く変革を迫っている。好むと好まざるに関わらず。
確かに検索エンジン側のロジックに改良の余地はあると思うが、Googleでは常に内部ロジックの改善を繰り返しているし、1年前に比べれば遥かに状況は良くなっているんじゃないかな。
ちなみに、本当に『地道に評価を稼いで来たはずの非ブログ系のサイトの記事』というのが事実だとすれば、「愚にもつかないブログ」に駆逐されるという事は現状でも考えにくい。できればどんなサイトを指しているのか具体例が知りたいっす。
もう一つ、愛・蔵太氏の『新聞や既成のマスコミが、インターネット・ブログ文化に対抗する3つの方法』についても触れておきたい。以下抜粋。
単純に、以下のことをやれば対抗できるどころか、今現在でも新しいメディアであるインターネットやブログを逆に利用できます。
1・ネット上の記事テキストは「過去ログ」として、他からの言及(リンク)に耐える形で半永久保存しておく。
2・ネット上の記事テキストで語られているものについて、「公式」にネットで公開されているもの(元データ)は、記事中に元データへのリンクを貼っておく。
3・記事を書いた人間の記者名を明記する。
基本的に全く同意なんですが、これって結局『対抗』するんじゃなくって既存マスコミのサイトが『ブログ化』するってことじゃないかな、とちょっと思った。
というかそういう動きは既に始まっていて、CNET JAPANでは(おそらく全ての)記事にはパーマリンクがあってトラックバックを受け付けている。つまりサイト全体がブログ化している。この流れがニュースサイト全体の主流になれば素晴らしいと思う。
最後に団藤氏のエントリーについても少しだけ。
ツールとしてのブログの優位性に異論を挟む人は殆どいない。そういう意味で(つまり純粋にツールとして)「新たに生まれたブログの世界は素晴らしい」という人はたくさんいる。ところが団藤氏の批判の矛先はなぜか「ブロガー」に向いている。ブロガー各々の主張内容は「ブログ」というツールとは何も関係がないはずだ。皆が「さるさる日記」に移転すれば良い話でもあるまい。そもそも自分だってブログ使って発言しているわけだから。言い換えると団藤氏の苛立ちは、ブログではなく「増殖する発言者達」に向けられてるわけだ。「くだらん文章しか書けないやつは消えてくれ」と。氏の主張はそんな風にしか読み取れない。そう解釈すると、コメント削除もステルスコメントも「なるほど」って思う。同時に「それでもプロか?」とも思うけど。
「ブログの現状をマジメに考えてみた」への10件の返信
署名記事でも無署名記事でも求められる「責任」
愛・蔵太氏の発信したエントリ、及びその下にあるコメント欄にて、署名記事に関する話題があったので、そこからヒントを得て「署名記事」という観点から「朝日・NHK報道…
「新聞や既成のマスコミが、インターネット・ブログ文化に対抗する3つの方法」に関する反響の感想
いろいろ刺激的なトラックバックとかをいくつかいただいたので、それぞれに少し言及してみます。どうもありがとうございます。
>ブログが非ブログサイトに比べて検索順位が高めになるのは事実だ
ならば非ブログサイトの記事リンクをブログに載せれば良いわけでして。
> JSFさん
>ならば非ブログサイトの記事リンクをブログに載せれば良いわけでして。
そうなんですよ。そういう手段も含めて、非ブログサイト全体の傾向として新しい技術を取り込もうという姿勢、努力が足りないんですよね。そういう意識の差が検索結果に反映するというのは、むしろ検索結果の精度が高い、と言う解釈も可能なわけで。せっかく良いコンテンツなのに、なんてのは言い訳なんですよね、結局。
ここが変だよブログ時評(1)
団藤氏が最近語るネットの現状やマスメディアとの対比にすごく違和感を感じるので ちょっと書いてみようと思う。 まずは直近のエントリをいくつか並べてみる。 ・公論…
JSFさん>
補足です。
上のレスだとちょっと論点がずれてたかもしれませんが、個人運営の言論系非ブログサイトで積極的にCSSデザイン等を取り入れているところはほぼ皆無なのでそれを指摘しておきたかったのです。
で、JSFさんご指摘の点はどちらかというと相互リンク依存の方でしたね。おっしゃるとおりだと思います。
トラックバックというのは下記の様な手順で擬似する事は可能です。
「非ブログサイトで、あるブログサイトについて言及した上で該当ブログへリンク」
「該当ブログのコメント欄で報告」
「該当ブログにて、応答した上で非ブログサイトにリンク」
めんどくさいですがw。でもめんどくさいと思ったらブログのシステムを導入すればよいわけだし。
トラックバックありがとうございました。
なるほど。確かに今いろいろなキーワードでためしてみると、思ったほどブログが出ませんね。
「ベルリオーズ」「吾妻ひでお」…いずれも2001年当時と同じサイトが1位に出て来ます(例が悪い?)。
自分がブログを使い始める前(昨年夏前)に感じていた事を覚えておりますので、おそらく1年ほど前の「実感」を基にした印象批判であったようですね。
要は「まとめ」として挙げた
「・検索エンジンの改良を期待する」
はもう既に進んでいるということですか。
謝罪して訂正することに致します。
ちなみに「愚にもつかないブログ」は私の本文中に上げた「還元論」で検索して出てくる楽天のサイトです。そこでの議論の途中引用物のサイトを確認するためにぐぐったところ、その楽天のサイトが異常に高い位置に出て来て、その下位のサイトから引用を引っ張りながら憤慨したことがあるのですが、その印象が強すぎました。今は徐々に収まりつつあるようですが。
あと補足ですが、私は「ブログを、十把一絡げに全否定」しておりませんので念のため。記事の文章からは私がその意見に与しているように読めますが、その点は少々心外です。
ついでに蛇足ですが、「ならば非ブログサイトの記事リンクをブログに載せれば良い」ってのはブログ「帝国主義」っぽくてどうかなあと思います。改めるべきは検索エンジンの評価の方と考えます。CSSに関してのご指摘の方は、ある程度理解できますが。
du@docozoさん>
はじめまして。
コメントありがとうございます。
>自分がブログを使い始める前(昨年夏前)に感じていた事を覚えておりますので、おそらく1年ほど前の「実感」を基にした印象批判であったようですね。
印象批判どころか、非常に鋭い視点だと思いましたよ。ブログが非ブログより検索上位に来る傾向そのものは今でも確実にあります。だからこそ拙ブログで貴殿の記事をピックアップさせていただいたわけで。謝罪訂正は必要ないと思います。
>あと補足ですが、私は「ブログを、十把一絡げに全否定」しておりませんので念のため。記事の文章からは私がその意見に与しているように読めますが、その点は少々心外です。
これは単に私の文章力の問題でした。申し訳ありませんでした。お詫びします。
筆者の意図としては、「十把一絡げに全否定」というのは直前に引用した2ちゃんねるのスレ「ブログってウザクないか?」の事を指してます。
読み返してみるとおっしゃるように誤読を誘発しかねませんね。文面を修正します。ご指摘ありがとうございました。
>ついでに蛇足ですが、「ならば非ブログサイトの記事リンクをブログに載せれば良い」ってのはブログ「帝国主義」っぽくてどうかなあと思います。
JSFさんの真意は「中身の濃い記事であれば非ブログの記事であってもたくさんリンクされていくはず」という事なんじゃないかと思います。「載せればよい」と言ったところで、各ブログが誰かの指示で動いているわけではないので、そこは「帝国主義」っぽく解釈しちゃうといささか無理があるかと;;;
あ、あと前後しますが
>「ベルリオーズ」「吾妻ひでお」…
この例示は素晴らしいと思いました(笑)。
丁寧なお答えありがとうございます。
一応現状の認識を改めたことについて追記をしておきました。ご教示ありがとうございました。
>JSFさんの真意は「中身の濃い記事であれば非ブログの記事であってもたくさんリンクされていくはず」という事なんじゃないかと思います。
それはそうなんですが、まじめな科学解説の類いは有用であってもあまり頻繁にリンクされるものじゃないから、ブログでちょっと言及しただけで禄に内容に触れていなくても上の方で出て来たりしがちだったり(少なくとも1年前は)、さらに変な誤用でブログを書かれると、そっちの方が強くなっちゃうと思ったんですよ。
>「載せればよい」と言ったところで、各ブログが誰かの指示で動いているわけではないので、そこは「帝国主義」っぽく解釈しちゃうといささか無理があるかと;;;
この部分については、「物理帝国主義」みたいな用法を想定していたのですが、ぐぐって見たらどうやら狭い範囲でしか通用しないジャーゴンだったようです。撤回致します。
>>「ベルリオーズ」「吾妻ひでお」…
> この例示は素晴らしいと思いました(笑)。
おほめいただきどうも(^^)。ただ今の例にするには「強」過ぎて不適切だったかな、と。
それでは。
朝日新聞記者、 団藤保晴氏への「ネット右翼および朝日新聞の体質に関する意見と、公開質問状
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