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YouTubeで見る 1980~90年代日本のポップシーンで輝きを放った天才ミュージシャン10組

長らく日本の音楽シーンは不毛の時代が続いている。CD売り上げとかの話ではなく、クオリティの話だ。個別に見れば非凡な才能を持ったアーティストもいるとは思うが、総じて小粒でサウンド面で業界を牽引していく様な核になる人がいない。ヒットチャートは定型化してしまった即席ミュージックで溢れかえっている。その傾向は1990年代、ビーイングの隆盛あたりから始まってはいたと思うが、それでも今に比べれば個性と才に溢れたアーティストがたくさんいた。
そんなアーティストの中から「YouTubeで映像を紹介する」という前提で、10組を独断で選んでみた。彼らを知らない若い人にこそ見て欲しいなー。どのアーティストも強烈な個性で、きっと新鮮に感じるはず。
ヒット曲の有無はあまり関係が無い。ここに挙げた10組は皆、その独創性で「他のミュージシャン」に多大な影響を与えた(もしくは今も与え続けている)面々である。


いまみちともたか(バービーボーイズ)

そもそもこの企画を思いたったのは、はてなブックマーク「注目の動画」に上がっていたバービーボーイズの
目を閉じておいでよ” を見て、だった。
ソプラノサックスを持った男性と女性のツインボーカルという編成上の斬新さもさることながら、なんといってもギタリストいまみちの手がけるサウンドが素晴らしかった。
既成の枠に囚われない大胆なコード進行と独特のリフが味わい深い。YouTubeにもけっこう多くの映像があったのでどれを取り上げるか迷ったが、彼らのスタイリッシュな感じが良く出ていると思ったので、これ。
離れろよ


松浦雅也(PSY・S)

日本人独特の「ポップ」感覚。その最も上質な部分を抽出した様な人。マジ天才。
松浦氏の「ポップ」感覚は、後に彼がプロデュースした「パラッパラッパー」で一つの完成形に到達したと感じた。「パラッパラッパー」のサントラは歴史に残る名作。ピッチカートファイブの小西康陽がクラブでDJをやる時にパラッパの曲を回してたとかいう話もあったような。
PSY・S時代も佳作が多かったが、YouTubeでは選択肢が少なかった。とりあえずこれ。
電気とミント
ちなみに、前述のいまみちともたかもPSY・Sのレコーディングにしばしば参加していた。


イエローマジックオーケストラ

なんか紹介の順番が無茶苦茶ですけど(笑)。これはもう説明不要。世界のYMO。
この3人がユニットを組むなんて今思えばつくづく奇跡としか言いようが無い。
動画もたくさんあったけど、YMOのサウンドにおいて「ユキヒロ」のドラムがいかに重要だったか感じ取る事が出来るこの映像を選んでみた。
YMO-BEHIND THE MASK(’79LIVE)


戸川純(ゲルニカ)

つーか、YouTubeでゲルニカの映像を発見した時点で、死んだ。そして泣いた。
上述したYMOの細野晴臣がプロデュースしたコンセプトユニット。
とりあえず映像を見ていただければYMOとは別の意味で説明不要。
銀輪は唄う
初めて見る人は面食らうだろうが、繰り返し聞き込むほどに、戸川純の表現者としての稀有な才能と、上野耕路が創り上げるサウンド&アレンジの高度さに感嘆する。そしてハマる。
とはいえ、さすがにこれは聴き手を選ぶかな。
自分の場合は中学時代ゲルニカばかり聴いている変な子に育ってしまった。


フリッパーズ・ギター

小山田圭吾と小澤健二。この組み合わせもあらためて凄い。
今や小山田はコーネリアス名義でかなり先鋭的な音楽をやってるわけだが、オザケンのPOPさとミックスする事でこの当時の味わいが生まれたのかなとも思う。
BLUE SHININ’ QUICK STAR


田島貴男(オリジナルラブ)

一時期「渋谷系」なんて括り方もされたが、後に様々な音楽を取り込んで独特の存在感を放っている。
見方を変えれば迷走している様にも見える。良く言えばいまだ未完成。個人的にはJAZZ志向の強かった初期のサウンドが一番好き。
YouTubeではこれしか見つからなかった。
接吻
中島美嘉がこの曲をカバーしたのは記憶に新しい。


山下達郎

マイペースに息の長い活動をしているが、サウンドクオリティの高さは折り紙つき。
作曲、アレンジ、歌唱力、どれをとっても図抜けていて、レコーディング技術についてもサウンドエンジニア顔負けの知識を持つ。トータルな「音楽家」としてのレベルは日本でもトップクラスではないか。
YouTubeにはあまり映像が無かったが、ドラマ「漂流教室」に使われていたこれ。ええ曲や。
Loveland,Island


近田春夫(ビブラストーン)

様々な名義で様々な活動をしている近田春夫。その中でもビブラストーンの印象が強烈。HipHopを標榜しつつ、アメリカのそれとも、いわゆるJ-HipHopとも明らかに違うそのサウンドは唯一無二。
ブラスセクションまで揃えた分厚いサウンドに乗せて、日本社会を痛烈に風刺したリリックを独特のノリでしゃべりまくる。韻も殆ど踏まない。
しかしこれこそが「日本発」のHipHopスタイルと言えるのかもしれない。評価も、国内より海外での方が高かった感がある。
Mikky-D


岡村靖幸

なにかとお騒がせなオカムラちゃん。しかしその才能に疑問の余地は無い。
ミュージシャンにも熱烈なファン多数。2002年にはミュージシャン有志によりトリビュートアルバムまで作られた。
個人的には、溢れる才能を持て余し気味である事とその寡作具合から、漫画家の江口寿史とイメージが被る。
そーいえば、トリビュートアルバムは江口寿史がジャケット書いていた。やっぱ相通じるものがあるのかな。
YouTubeに、尾崎豊と競演してる興味深い映像があったのでそれ貼っときます。
岡村ちゃんわけえ!ほせえ!
尾崎豊&岡村靖幸  YOUNG OH!OH!


奥田民生

バリバリ「今」の人だけどユニコーン時代含めるとキャリアはけっこう長い。
その「リラックス具合」含めて才能だと思う。この人も海外で評価が高く、レコーディングとかで地味に凄い面子が集まる。”ロック”を肌で理解している人。個人的には作詞家としての才能も突出してると思う。
YouTubeではけっこう削除されちゃったのか、思ったほど数が無かった。
イージューライダー


他にも取り上げたかった人はたくさんいた。矢野顕子とか大貫妙子とかボガンボスとかRCサクセションとか。
とりあえず懐かしすぎ。それにしても皆すごい存在感だ。
2000年以降に世に出たミュージシャンで実力的にこのあたりの面子と肩を並べる人って誰かいたっけか?誰も思い浮かばない。
それこそが音楽業界の抱える最大の問題じゃなかろうか。
無許諾アップロード摘発に血道を上げるより大切な事があると思う。