新しき日本語ロックの道と光
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アーティスト:
サンボマスター
,
山口隆
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出版社・メーカー:
ソニーミュージックエンタテインメント
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発売日:
2003/12/03
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メディア:
CD
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評価:
4.73
(全33件)
ここ2週間ばかり、このアルバムばかり聴きまくっている。
そしてここ2週間ばかり、こいつらのせいでめっちゃ涙もろくなってしまった。
とりあえず「そのぬくもりに用がある」のイントロ聴いただけでオレは確実に泣ける。
何度でも泣ける。メシ何杯でもいける。
ひさしぶりだなぁ、アーティストにこういうハマり方するの。
「クラス1キモイあいつが歌う、世界一美しい歌」
とサンボを評したのは銀杏BOYZの峯田和伸だった。まあなんつーか、そりゃさすがに褒めすぎかもしれないがwホントにそんな気分になってくる。
このアルバムは2003年12月にリリースされた1stだがデビューアルバムではない。2003年7月にオナニーマシーンとのスプリットアルバム「放課後の性春」をリリースしているので厳密にはそちらがデビュー作という事になる。ちなみに「放課後の性春」録音直後、作品を聴いたソニーミュージックの担当者がアルバム制作を独断で決定したというエピソードがある。そうして「放課後の性春」リリースからわずか5ヶ月後、この「新しき日本語ロックの道と光」が誕生した。今回のレビューはイラストまで描いちゃったよ!気合入っちゃったよ!ww
M1.愛しき日々
実にシンプルなロック。1stの1曲目、その衒いの無さが眩しい。スタジオ録音でこれだけテンションを上げられるボーカリストも珍しいと思う。ライブだとテンションが上がりすぎてよくわからないのだがw山口のボーカルはホントに良い。今までいそうでいなかったタイプ。
M2.そのぬくもりに用がある
この曲はアルバム中でもダントツでヤバイ。曲を貫くコードワークは、シカゴの「サタデイインザパーク」などと同じパターンで本来すごくオシャレなものなんだけど、こいつらにかかると命の放射になっちゃうw。このコード進行でこれだけ泥臭いロックになるのはサンボならでは、かな。つーかコード進行自体がカタルシスに満ちているんだけど。「サタデイインザパーク」も名曲だし。後半微妙にノリがファンクなところといい、歌詞の美しさといい、この曲はどこまでも奥が深い。
涙流れて 愛が生まれる
愛が生まれて 五月雨になる
言葉にできないからギターを弾くわけですよ!
M3.人はそれを情熱と呼ぶ
この曲もギターのカッティングとかどちらかというとファンク。コードワークも典型的なロックのそれとは一線を画す。細かなコードチェンジで一歩間違うとゴチャゴチャしそうな曲なんだが、小難しい感じは全然なくて、不思議なほど直球な感じのドライブ感を生み出す事に成功している。
不思議なほど直球な感じのドライブ感なわけですよ、皆さん!
M4.夜汽車でやってきたアイツ
いかにもロックなイントロから始まって、Aパターンで一気にテンションを落とす。山口のテンションの上げ下げが曲全体のドラマチックさを引き立てて、うねりを生み出している。ガナらなければ意外とキレイな声なんだな、とこのあたりで気付く。
意外とキレイな声なわけですよ!
キモイとかは良く言われるんですけど、
それだけじゃあ悲しいじゃありませんか!
M5.残像
あー、これはかなりストレートなロック。疾走感が心地よい。
サビの部分の歌詞。
ずっとずっと沈まねェぞ 太陽
あなたの後ろめたさを ずっと
沈まねェ太陽 動かねェ残像
この歌詞にサンボのよさが全て凝縮されている。どんなに攻撃的な歌詞の中にあっても、愛する人は「あなた」であり。その想いの深さは「ずっと」の繰り返しに暗示的に表れる。
攻撃性と同居する誠実さ、照れくささ。
こんな歌詞を汗むさいメガネのデブが歌うのだ。オマエが歌うからカッコイイ。日本古来の「男の美学」がここにある。
M6.この世の果て
スティングの「見つめていたい」の様な、淡々としたミディアムナンバー。このアルバムの中で、特に異彩を放つ曲だ。
そして超えてゆくんだ ここで
君に笑われたっていいんだよ
笑われたっていいじゃないですか!は次曲の語りでも出てくるサンボ山口の名言w。
M7.さよならベイビー
典型的8ビートの超ストレートな直球ロック。歌詞もこの曲が一番直球かw。中間部の高テンション語りが聴き所。山口のキャラクタが垣間見えて必聴。
笑われたっていいんですよ!
M8.Ohベイビー
これはなかなかの佳作。コードワークの中で見せるクロマチックなベース進行が
Coolかつキャッチー。ただのロック野郎じゃないところを見せてくれる。
この微妙なポップさは、なんというか、「音楽知ってる」証な感じだ。
M9.それでもかまわない
よくテンションが続くなという位この曲も全開。
アルバム全体を通して、VIマイナーとサブドミナントマイナーが多用されている傾向に気付く。この曲もそう。荒削りな「勢い」は、なんか大学時代を思い出す。胸のうちの「熱さ」をコントロールしきれずに、まさに「放射」する様な感触はファーストアルバム特有のものなのかな。
M10.朝
アルバムの最後を飾るナンバーは、ノリが微妙に16ビートで、微妙に黒っぽくて、ドミナントマイナーが効果的に胸にしみる。小技がさりげない。
今ここで 涙ながらに 涙の理由は 今消えた
サンボの歌詞は説明がない。だから情景が浮かびづらい。でも何かひっかかる。ひっかかるよママン。
とか言ってるうちにこの曲は衝撃の急展開を迎える!!ww
2005年1月には2ndアルバム「サンボマスターは君に語りかける」もリリースされ、はねるのとびらでは「ブサンボマスター」というパロディコントが人気を博すなど、サンボマスターへの注目度は上がる一方だ(ちなみにブサンボマスターはファンの間で批判も根強いようだが)。
とりあえず「放課後の性春」と2ndアルバムは絶対買わないと。ブサンボマスターも見ないとw。これからもサンボマスターから目が離せない。
最後にニヤリの和尚さん経由で知った2chスレ。愛を感じますなw
あらゆる曲をサンボマスター調にしたいんですよ!