人権擁護法案ポジションMAP

人権擁護法案をめぐる議論はあいかわらず収束しない。もう少し論点が絞れないものだろうかと思うが、いまだに盲人が象を語る風情だ。
あらためて自論を整理しようと思い、現状把握の為の資料を作ってたら結構な量になったので、単独エントリーにしたいと思う。人権擁護法案を取り巻くネット上の勢力や団体、政党の立ち位置を私の独断でMAP化してみた。解説文と併せて、複雑に入り組んだ現状分析を理解する一助になればうれしい。このMAPを基に、次エントリーであらためて人権擁護法案に関する自論を整理する予定。
※MAPはクリックすると拡大します。
jinkenmap.gif
※図中の”強硬””穏健”とは、法案に対するコミットメントの強度を表しており、各集合体の持つ性質を意図している訳ではありません。
以下、各勢力・組織について簡単に解説。

1
感情的「拒絶」派 この法案が成立してしまったら日本は滅ぶ、と言わんばかりのトーンで強硬に反対運動を展開するネット上の勢力。最近では有志によるビラ撒きや緊急集会などオフラインの活動まで拡張してきているようだ。ただ、その主張には全体的に法案の誤読や事実からかけ離れた誇大表現が多く、ここにきて行き過ぎたアジテーションに対する批判もでてきた。
~参考リンク~
人権擁護(言論弾圧)法案反対!
サルでも分かる?人権擁護法案
酔夢ing Voice(西村幸祐氏)
2
論理的「反対」派 法案に反対しつつも、感情的過ぎる現状の反対運動とは一定の距離感を保っているネット上の勢力。「反対」の強度はけっこうまちまちで、”ウィークに反対”という人も多い。最近では法案そのものより、法案反対運動の行き過ぎを諌める論調が強まってきた気がする。
~参考リンク~
カレーとご飯の神隠し:人権擁護法案議論のウソとホント(カリー氏)
若隠居の徒然日記 (若隠居氏)
議論の交差点 (elios氏)
3
客観的「分析」派 論理的反対派と立ち位置は近い。法律についての深い知識を持つ人が多く、条文の解釈によるアプローチに主眼を置く。法案の賛否問わず、為になる記事が多い。(特にBewaad氏、an_accused氏のサイトは必見)
また、ネット上にもわずかに法案肯定派がいるが、やはり法解釈に長けた層の人が多いので、ここに分類しておく(小倉弁護士など)。
~参考リンク~
BI@K (Bewaad氏)
an_accusedの日記(an_accused氏)
IT法のTOP FRONT(小倉秀夫弁護士)
4
自民党推進派 人権問題懇話会(座長古賀誠)」を中心とする自民党内勢力。もし法案が国会提出となれば、あらためて自民党内の推進派勢力が明らかになるだろう。
法案提出のきっかけが古賀氏と解同執行委員長組坂氏との会談であると言われ、それが本法案に対する拒絶反応の一因になっていたりもする。
~参考リンク~
自民党公式サイト
5
公明党 与党の一員として「人権問題懇話会」にも参加。「今国会中の法案成立」に向けての強い決意を表明している。メディア条項の削除に最も強く抵抗しているが、背景にはこの法案を創価学会バッシング報道に対する抑止力として機能させたい思惑があると思われる。また、国籍条項を設ける事にも強く反発している。
~参考リンク~
公明党公式サイト
6
自民党反対派 自民党法務部会内では、古川禎久議員や亀井郁夫議員など。他には安倍晋三議員などが反対の意思を明確に表明している。もし法案が国会提出となれば、あらためて自民党内の反対派勢力が明らかになるだろう。
7
民主党 自民党案では手ぬるいとして、人権侵害救済法という対案を発表済。この対案のポイントは、
(1)メディア規制条項の削除
(2)人権委員会を法務省外局とせずに、より独立性を高める
の2点。 岡田代表は「今国会での成立を目指す」と明言しており、解同の方針に全面的に従った格好。
~参考リンク~
民主党公式サイト
8
共産党 言論表現の規制に繋がる、エセ同和行為を助長する事になりかねない、などの理由で、法案に反対の立場を明確にしている。
~参考リンク~
日本共産党中央委員会
9
社民党 主張内容としては民主党とほとんど同じなのだが、「自民案では絶対ダメ!」というニュアンスで、微妙に立ち位置が違う。「人権委員会の独立性」に拘っており、法務省の外局とする事に強く抵抗している。しかし、実際に法案が国会に提出されれば、法案成立を優先させる為の妥協は惜しまない可能性が高い。
~参考リンク~
社会民主党公式サイト
10
部落解放同盟 (解同) この法案成立に向けて最も強く働きかけている団体の1つ。「パリ原則」に則った法案を目指しており、その理念は民主党が出した「人権侵害救済法」に反映されている。
人権委員会が法務省外局である事に強く抵抗する理由は、パリ原則の精神に則っていないだけでなく、法務省が「確認・糾弾」について否定的な見解を示している為と思われる。
~参考リンク~
部落解放同盟中央本部
11
創価学会 意外にも創価学会が直々にこの法案に関してコメントを発表したりは特にしていない模様。とりあえず公明党の主張をそのまま踏襲すると考えてよいだろう。
~参考リンク~
創価学会 公式ホームページ
12
全国人権連 被差別部落民の全国組織として特に活発に活動しているのは、解同の他にこの全国地域人権運動総連合(全国人権連)[2004年全解連から改組]と、解同から枝分かれした部落解放同盟全国連合会(全国連)の3つがある。日本共産党系の団体であるこの全解連は、2002年の前回法案提出時から一貫して「国民の「人権救済」に役立たない「人権擁護法案」の廃案を求めます」と主張しており、2005年3月17日には、小泉首相らに人権擁護法案再提出を断念する旨の要請書を提出。解同との立場の違いを鮮明にしている。
~参考リンク~
全国地域人権運動総連合
[2005/3/31 修正]
13
全国連 部落解放同盟全国連合会(全国連)は、第14回全国大会にて”糾弾闘争を禁止する「人権擁護法案」絶対反対”という特別決議を採択し、明確に反対の立場を表明している。部落差別撤廃という同じ目的に立つはずの3団体のうち、解同以外の2団体がいずれも法案反対である事、そして反対する2団体もその反対理由が全く異なる事を見ても、この法案の複雑な背景が見て取れる。
~参考リンク~
部落解放同盟全国連合会
14
救う会 北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)は、2005年3月14日”拉致問題の解決に障害となる「人権擁護法案」に断固反対する緊急声明”を出し、人権擁護法案には断固反対の立場を取っている。
しかし、救う会の目的はあくまで「拉致問題解決」であり、今後どの程度法案反対に向けた活動を行うのかは不透明。
~参考リンク~
救う会全国協議会
15
家族会 北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(家族会)から、人権擁護法案について公式のコメントは無い模様。しかし、事実上「救う会」と一体化した活動を行っているので、救う会の見解と大きく異なる事は無いと思う。
16
朝鮮総連 反対論者から騒がれている割には、総連はこの件に関して、実際驚くほどリアクションが薄いし、目立った働きかけも今のところ無い。しかし国連人権委員会などの場で繰り返し日本政府を批判してきた経緯からしても、「賛成派」なのは自明。今後の動向が注目される。
~参考リンク~
在日本朝鮮人総聯合会
17
民潭 こちらも朝鮮総連同様、人権擁護法案に関してはリアクションが薄い。立場的に「賛成派」である事は間違いないと思うが、竹島問題や地方参政権、教科書問題などに比べて注目度は極端に低い様だ。
~参考リンク~
在日本大韓民国民団中央本部
18
マスメディア 2002年の時に比べると、メディア条項が凍結されている所為か注目度は低い。新聞では産経新聞だけが反対派に近い論調だが他は総じてそっけない。ジャーナリストに目を転じても、反対するのは「メディア条項の凍結」についてで、議論の噛み合いは悪い。安倍晋三議員がここにきて法案反対の活動を強めており、これをきっかけにしてどの程度世間の耳目が集まるかが今後注目される。

本当は日弁連などもMAPに入れたかったんですが、あんまりごちゃごちゃし過ぎてしまったので削除しました。記述誤りなどお気づきの場合、コメント欄等でご連絡いただければありがたいです。
次エントリーに続きます。

ブログの現状をマジメに考えてみた

ブログ時評のエントリー『ブログの現状はそれほど素晴らしいか』で団藤保晴氏の主張がまたまた物議を醸している。
団藤氏へのツッコミは他の切れ味鋭い皆さんにおまかせして、ちょっと「ブログの現状」について考察してみたくなった。
ブログ時評関連で、いろいろなサイトを見ていてちょっとココが気になった。
du@docozo 『ブログにより検索結果の質は下がっているか
以下抜粋。

確かにブログの中だけを取り上げればページランキングが高いページの方が質が高い傾向はあろう。しかし問題はそこではなく、ブログと非ブログの間で評価をランキングに反映させる上での差が生じているのだ。
正直言って愚にもつかないブログの記事によって、地道に評価を稼いで来たはずの非ブログ系のサイトの記事が埋もれて行くのは残念極まりない。

要するに、「ブログ-非ブログ間の検索順位格差はどうよ?」という問題提起である。これはなかなか着眼点としては面白いと思った。
ブログが非ブログサイトに比べて検索順位が高めになるのは事実だ。これには幾つかの理由がある。
(1)トラックバック機能によるリンク相互依存度向上
(2)フルCSSデザインによってクローラーとの親和性が向上
(3)大手Blogサービスを利用する事により、ページランク評価上有利になる場合がある
(サービスのTOPページから各ユーザページが様々な形でリンクされる、ドメインのrootページが既に高いページランクを得ている、など)
キーワード検索の場合、実は上記(2)の影響が最も大きい。SEO的な話になってしまうので詳細は言及しないが、興味のある方はこの辺を見てみるといいかも。
で、ブログ-非ブログ間で検索順位格差があるという指摘は一理あるんだけれども、実はそういう議論は結構前から行われてたりする。2ちゃんねるのWEB制作版に『ブログってウザクないか?』というスレができたのは約1年前だ。以下抜粋。

1 :Name_Not_Found:04/04/25 08:02 ID:???
最近、googleでネットを検索してもやたらブログ系ばかり釣れてウザイ。
たいしたネタも無いクソガキどもが、トラックバックで馴れ合ってるせいで検索エンジンでドンドンランク上がっていくし。
全てのブロガーがそうだとは言わんが、マジでウザ過ぎる。
↑と、俺は想うのだが意外とネットでブログに否定的な意見をあまり見かけないので、諸兄の意見を伺いたくスレを立ててみた。

このスレも当初は活発な議論が為されていたような記憶があるが(うろ覚え)、今もWeb制作版にあるスレPart3はすっかり盛り上がりに欠けてしまっていて、このネタは既に「終わった議論」という感がある。
まあこのスレに関して言えば一昔前の「携帯電話否定論」みたいなもんで、使い勝手の良さとシステム設計の先見性をもってこれだけ爆発的に普及してきたブログを、いまどき十把一絡げに全否定したところで「それは違うよね」で終わるだけなんだろう。
非があるのはブログではない。ブログがもたらしたネット界の新しい波は、既存のネット資産にも否応無く変革を迫っている。好むと好まざるに関わらず。
確かに検索エンジン側のロジックに改良の余地はあると思うが、Googleでは常に内部ロジックの改善を繰り返しているし、1年前に比べれば遥かに状況は良くなっているんじゃないかな。
ちなみに、本当に『地道に評価を稼いで来たはずの非ブログ系のサイトの記事』というのが事実だとすれば、「愚にもつかないブログ」に駆逐されるという事は現状でも考えにくい。できればどんなサイトを指しているのか具体例が知りたいっす。
もう一つ、愛・蔵太氏の『新聞や既成のマスコミが、インターネット・ブログ文化に対抗する3つの方法』についても触れておきたい。以下抜粋。

単純に、以下のことをやれば対抗できるどころか、今現在でも新しいメディアであるインターネットやブログを逆に利用できます。
1・ネット上の記事テキストは「過去ログ」として、他からの言及(リンク)に耐える形で半永久保存しておく。
2・ネット上の記事テキストで語られているものについて、「公式」にネットで公開されているもの(元データ)は、記事中に元データへのリンクを貼っておく。
3・記事を書いた人間の記者名を明記する。

基本的に全く同意なんですが、これって結局『対抗』するんじゃなくって既存マスコミのサイトが『ブログ化』するってことじゃないかな、とちょっと思った。
というかそういう動きは既に始まっていて、CNET JAPANでは(おそらく全ての)記事にはパーマリンクがあってトラックバックを受け付けている。つまりサイト全体がブログ化している。この流れがニュースサイト全体の主流になれば素晴らしいと思う。
最後に団藤氏のエントリーについても少しだけ。
ツールとしてのブログの優位性に異論を挟む人は殆どいない。そういう意味で(つまり純粋にツールとして)「新たに生まれたブログの世界は素晴らしい」という人はたくさんいる。ところが団藤氏の批判の矛先はなぜか「ブロガー」に向いている。ブロガー各々の主張内容は「ブログ」というツールとは何も関係がないはずだ。皆が「さるさる日記」に移転すれば良い話でもあるまい。そもそも自分だってブログ使って発言しているわけだから。言い換えると団藤氏の苛立ちは、ブログではなく「増殖する発言者達」に向けられてるわけだ。「くだらん文章しか書けないやつは消えてくれ」と。氏の主張はそんな風にしか読み取れない。そう解釈すると、コメント削除もステルスコメントも「なるほど」って思う。同時に「それでもプロか?」とも思うけど。

マジで失望した

誰とは言いませんが。
週刊オブイェクトさんの『著名言論人とブログの在り方』コメント欄より抜粋。

間違える事は誰にでも有り得るわけで、その後の対応次第で炎上するか逆に評価が上がるかの分かれ目が出てくるのだと思います。

御意。
たぶん今回はどちらでもない。ソツのない対応だったと思う。
でも、私としてはマジで失望しました。
楽しみにしていた好きなアーティストの新譜がスゲー駄作だった時のような気分。

『人権擁護法案反対運動』に辛口エールを送る

まず冒頭にて私のスタンスを明確にしておきます。人権擁護法案には明確に反対の立場です。しかしその上で本エントリーでは『人権擁護法案反対運動』の有り方に苦言を呈します。
今日のasahi.comより。
人権擁護法案、今国会の成立困難に 国籍条項で調整難航
ここまで来ただけでも大変な成果ですが、今のところ結論が先送りになっているだけとも言えます。
とはいえ、いくらか時間的猶予ができたのは確か。
そこで提言。
今ならまだ間に合います。反対論者は早急に理論武装に努めるべきです。
法案反対運動の啓蒙拠点サイト人権擁護(言論弾圧)法案反対!のコメント欄を見ると、誇大妄想的感情論が日に日にエスカレートしてます。以下抜粋。

  • 治安維持法復活ですか。
  • 私は将来ゲーム関係の仕事につきたいと考えているのに、今この法案が可決されれば文字通り夢をつぶされたも同然です。
  • 日本に国内クーデターを起こさせそれを武力で行使し逆らうものを悪とでもするのですか?
  • 辛口系お笑い芸人も犯罪に!!
  • チビとかデブって言ったら逮捕なわけね。すごいなぁ。

このくらいにしておきます…。いったいこの法案をどう読めばこんな解釈ができるのか…。
あまりの誤解と妄想に閉口してしまいます。
ここまでエスカレートした誤解を放置し、いたずらに増幅してしまった危機感がそのまま反対運動を支えるモチベーションになってしまうと、現実が明らかになってきた時に反対運動自体が一気にダイナミズムを失う元凶にならないでしょうか?こういった誇大妄想は、法案推進派に反論のきっかけを与えるだけです。
問題が「誤解する大衆」だけであればまだいいのですが、理論武装の浅薄さは、法案反対論者全体の傾向に見受けられます。多くのサイトでは、「人権委員会」「人権擁護委員」といった基本的語句さえ正しく使い分けられていません。「人権擁護委員会」なんて表現が多々見受けられますが、法案のどこにもそんなものは定義されていません。
Bewaad氏のBlog『BI@K』では、2ちゃんねる等における反対論旨や西尾幹二氏の記事に対して、誤りや矛盾点が冷静に指摘されています。関連エントリーは多数あり、反対派賛成派を問わずどれも必見の内容ですが、特に以下の2エントリーは重要です。
人権擁護法反対論批判 後編上
→主に2ちゃんねるを中心とした反対論に対する批判です
人権擁護法反対論批判 後編下
→上記の続き+西尾幹二氏の記事に対する批判です
なお、Bewaad氏ご自身は必ずしも法案賛成というわけでもなく、客観的に反対論者の”脇の甘さ”を指摘しているように見受けられます。反対論者はこうした『善意の批判』を真摯に受け止め、聞き入れるべきところは聞き入れ、反論すべき点はしっかりと反論を準備して、理論武装をより強化するべきです。
保守系の有名ブログの1つIrregularExpressionさんも、明確に人権擁護法案に反対の意思表明をされていますが、やはり誤解に基くと思われる表現が散見されます。3月18日のエントリーでは、以下の様な記述があります。[3/21追記:以下の記述はgori氏が「一番オレの考えに近いコメント」として2ちゃんねるからコピペしたものです。]

人権擁護法案は、国連のパリ原則に即した形で成立させるなら問題はさして無い。
別に国民への直接のプレッシャーにならない。
人権機関が圧力をかけるのは行政で、最終的な対応の責任は判断は行政にあるからだ。
ワンクッションはいることによって、人権機関の暴走はなくなる。
法務省の人権擁護法案は、パリ原則の主旨に全く即していない治安維持法だ。

まず、「パリ原則に即した形」についてですが、若隠居さんのBlogでもすぐに反論されていましたが、私からも補足。パリ原則には「準司法的権限を有する委員会の地位に関する補充的な原則」として次のような記述があります。以下抜粋。

国内機構に対しては,個別の情況に関する申立てないし申請を審理し,検討する権限を与えることができる。国内機構の扱う事件は,個人,個人の代理人,第三者,NGO,労働組合の連合会及びその他の代表制組織が持ち込むことができる。この場合,機構に委ねられた機能は,委員会の他の権限に関する上記の原則を変更することなく,以下の原則に基づくことができる。
(a)  調停により,又は法に規定された制約の範囲内で,拘束力のある決定によって,また必要な場合には非公開で,友好的な解決を追求すること。
(b)  申請を行った当事者に対し,その者の権利,特に利用可能な救済を教示し,その利用を促進すること。
(c)  法に規程された制約の範囲内で,申立てないし申請を審理し,又はそれらを他の権限ある機関に付託すること。
(d)  特に,法律,規則,行政実務が,権利を主張するために申請を提出する人々が直面する困難を生じさせてきた場合には,特にそれらの修正や全面改正を提案することによって,権限ある機関に勧告を行うこと。

このように、個別の申し立て、申請を審理し検討する権限が与えられると明記してあります。さらに原則として「調停」「救済」「勧告」といった具体的権限についても言及されています。
一方、今回の人権擁護法案で定められた内容を見てみると、人権委員会に認められた権限は「調停」「勧告」「公表」までであり、「勧告」が法的拘束力を持たない事を考えれば「パリ原則の主旨に全く即していない」と、何を根拠におっしゃっているのかいささか疑問です。(誤解なきよう補足しますが、「公表」制度にはおおいに疑問を持っており、私が法案に反対する理由の一つである事は明言しておきます)。
ちなみに後述する部落解放同盟の機関紙「解放新聞」の一文でも「パリ原則をふまえた法案整備を」と訴えています。パリ原則は法案推進派の拠り所でもあり、安易にこの名を持ち出すのは危険です。
また、「治安維持法だ」という表現についてですが、確かにキャッチフレーズとしては刺激的でインパクトがありますが、真実とはかけ離れた誇大表現と言わざるを得ません。
人権擁護法案で定める人権委員会の権限には、「逮捕」はおろか「拘禁」する権限さえ無いからです。「勧告」も何ら法的拘束力を持ちません。制裁的意味合いの措置としては「公表」があるだけです。
一方、世紀の悪法とされた改正後の治安維持法第一章第一条を例に見てみましょう。

国体ヲ変革スルコトヲ目的トシテ結社ヲ組織シタル者又ハ結社ノ役員其ノ他指導者タル任務ニ従事シタル者ハ死刑又ハ無期若ハ7年以上ノ懲役若ハ禁錮ニ処シ情ヲ知リテ結社ニ加入シタル者又ハ結社ノ目的遂行ノ為ニスル行為ヲ為シタル者ハ3年以上ノ有期懲役ニ処ス

治安維持法は冒頭からコレですよ。まったく次元が違いませんか?人権擁護法案が悪法だというのは同意ですが、あまりにも誇大な煽りになってしまってないでしょうか。
私はブロガーとしてのgori氏を大変尊敬しています。記事へのコメントも多数させていただいてます。だからこそこのような安易な煽りは見たくないんです。法案について詳しく知らない人々にはアピールしても、有識者層からは逆に失笑を買う結果になりはしないか、私はそれを危惧します。いい加減な理論武装では、有識者層全体を巻き込んで反対運動を大きなうねりにする事はできません。
最後に部落解放同盟WEBサイトに掲載された「解放新聞」からの引用です。

部落解放・人権政策確立要求中央実行委員会の第5回中央実行委員会を2月23日午後、参議院議員会館でおこなった。実行委ではこの通常国会が「人権侵害救済法」制定の最大の山場、私たちがめざす法律へ、「パリ原則」をしっかりふまえたものをこれから作っていこう、と意志一致した。各地実行委員会などから代表180人が参加した。集会後は、国会議員への要請行動にとりくんだ。
 基調のなかで谷元昭信・事務局次長は、今日時点での論点整理として、①人権委員会の独立性確保のために法務省ではなく内閣府の所管に②実効性確保のために地方での人権委の設置が必要③公権力の不当な介入の排除―メディア規制の削除、確認・糾弾への不当な介入の排除をあげ、原則を放棄することなく、安易に妥協することなく、これからが山場だ、闘いをつづけよう、とよびかけた。
 開会あいさつで組坂繁之・副会長は、この通常国会が最大の山場、安易な妥協はしない、100点満点をめざして全力をあげよう、と訴えた。集会では、自民、公明、民主、社民の各政党の代表があいさつし、この国会で人権侵害救済のための法律の制定へとりくむ決意をのべた。

このように、解放同盟はこの法案の目的の1つが糾弾への不当な介入の排除と明言しています。この記事だけでも、一般国民がこの法案に不安を抱く根拠としては十分です。
他にも朝鮮総連や創価学会など、人権擁護法案には各種団体の思惑が折り重なっていて全体像がなかなか見えません。そういった現実を啓蒙し現状認識をある程度共有した上で、例えば法の専門家である方々に「法の濫用を防ぐ為の条文改正私案」というテーマで意見を出し合ってもらうとか、そういった建設的な議論への誘導も有効な施策の1つと思います。
今の様に、「廃案か法案成立か」といった二元的勝ち負け論ではなく、「カウンターとしてどういう条文を盛り込むか」といったカードを手にしておくのも勝負事には必要です。「濫用を防ぐ」という大義名分であればどの団体も反対しづらいでしょうし。
無関心な人間の耳目を集める為にある程度の「煽り」が必要なのは理解します。
しかし、感情的なアジテートがあまりにも先行し過ぎた反対運動では、先々あまり良い結果を生まない気がします。法案には反対しつつも反対運動に積極的ではない多くのブロガーが存在するのも事実です。
西尾幹二氏や、西村幸祐氏gori氏といった、多大な影響力を持つカリスマブロガーの皆さんが、その点に留意して今後の運動を展開していただければ幸いです。

人権擁護委員推薦の議事録見つけた

いろいろググってたらこんなものを拾った。
平成13年の札幌市議会議事録人権擁護委員推薦の承認に関するやりとりが読める。とりあえずその部分を抜粋してみる。

次に,諮問第1号は,人権擁護委員候補者推薦に関する件であります。
 本市を職務区域とする人権擁護委員であります赤渕由紀彦,国岡智哉,杉本慶子,鈴木 豊,西山秀一,新田正弘,羽生有伸,原 敦子,三島辰雄の9氏は,いずれも来る平成14年2月28日をもって任期満了となりますので,赤渕由紀彦,杉本慶子,西山秀一,新田正弘,原敦子,三島辰雄の6氏につきましては,引き続き推薦することを適当と認め,また,国岡智哉氏の後任者といたしまして小六久枝氏を,鈴木豊氏の後任者といたしまして武田真知子氏を,羽生有伸氏の後任者といたしまして渡邊 清氏をそれぞれ推薦することを適当と認め,議会の意見を求めるため,本案を提出したものであります。
 赤渕由紀彦氏は,昭和60年4月に弁護士の登録をされ,平成11年3月から人権擁護委員に就任されている方であります。
 小六久枝氏は,株式会社小六専務取締役をされているほか,社団法人札幌青年会議所会員交流委員会委員をされている方であります。
 杉本慶子氏は,現在,札幌保護観察所保護司のほか,札幌家庭裁判所家事調停委員をされており,平成11年3月から人権擁護委員に就任されている方であります。
 武田真知子氏は,長く教職に携わり,札幌市立曙小学校校長等を歴任後,現在は,北海道教育大学岩見沢校非常勤講師をされている方であります。
 西山秀一氏は,札幌市アパート業協同組合専務理事,社団法人北海道住宅協会事務局長理事等を歴任され,平成11年3月から人権擁護委員に就任されている方であります。
 新田正弘氏は,平成元年4月に弁護士の登録をされ,平成11年3月から人権擁護委員に就任されている方であります。
 原 敦子氏は,昭和59年4月に弁護士の登録をされ,平成2年3月から人権擁護委員に就任されている方であります。
 三島辰雄氏は,長く教職に携わり,札幌市立札幌中学校校長等を歴任後,平成2年3月から人権擁護委員に就任されている方であります。
 渡邊 清氏は,長く法務局に勤務され,札幌法務局苫小牧支局長等を歴任された方であります。
 以上で,ただいま上程をされました各案件についての説明を終わりますが,何とぞ原案のとおりご同意くださいますようにお願いを申し上げます。
○議長(佐藤美智夫君) これより,質疑及び討論の通告がありませんので,採決に入ります。
 議案第26号及び議案第27号については同意することに,諮問第1号については推薦することを適当と認めることにご異議ありませんか。
 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(佐藤美智夫君) ご異議なしと認めます。よって,議案第26号及び議案第27号については同意することに,諮問第1号については推薦することを適当と認めることに決定されました。

180万都市の札幌で、平成17年現在人権擁護委員は44名いる模様(札幌市人権擁護委員協議会名簿参照)。44名がどんな経歴の持ち主かは名簿からでは判らないが、この札幌市議会の議事録で取り上げられてる9名を見てみると、
弁護士×3名(やっぱり弁護士は多いっすね)
保護観察所保護司(&家庭裁判所調停委員)
実業家(青年会議所所属)
元協同組合専務理事
元教員×2名
元法務局支局長
って感じ。率直な感想として、結構まともな人選じゃね?たしかに、どんな思想信条持ってるかは判らないけど。ここに名前出てる小六久枝氏なんて昔知り合いの結婚式の2次会で一緒にバンドやったことあるし(笑)。「へー人権擁護委員だったんだー」なんて、ちょっと驚いた。
ただ、この議事録読んでてこの手続き自体形骸化しちゃってる雰囲気は伝わってくる。こんなゆるーい諮問手続きだけだと、万が一特定の団体の利益を目的とした人間が推薦された時にフィルタの役割を果たせるか甚だ疑問ではある。(なんたって、実質的な質疑ゼロだもんなー)
まあ、今の人権擁護法案は率直に言って反対なのは変わらない。
条文の粗末さが正当化されるわけでもない。
とはいえ。
身近な人権擁護委員を調べてみるのは、冷静さを取り戻すという意味でいいかも。(単に北海道が平和だからかもしれないが。。。)

同和問題についての、ある「謝罪」

長くなってしまったのでエントリーを分けました。『同和問題についての、ある「証言」』とセットで読んで頂ければ幸いです。
もう1ヶ月半くらい前の話で恐縮ですが、テレビ朝日『サンデープロジェクト』にて、「追跡2年!食肉のドンと呼ばれた男」という特集がありました。この特集内での発言について、田原総一郎らが翌週謝罪し、その平謝りっぷりが2chなどでも結構騒がれたんですが、この顛末は今の同和問題が持つ矛盾を最も良く現しているエピソードと感じます。今さらですが、1月23日放送の問題の部分と、翌週放送の謝罪をテキストに興しました。これも、現状を探る手掛かりとしての、ある「謝罪」です。
登場人物
司会:  うじきつよし(以下、うじき)
アシスタント: 宮田佳代子(以下、宮田)
出演: 田原総一郎(以下、田原)
     高野孟(以下、高野)
    大谷昭宏(以下、大谷)
■2005年1月23日 サンデープロジェクト
『追跡2年 食肉のドンと呼ばれた男』の問題部分 
(浅田 満の人物像や生い立ちなどについて、どこも報道しない事について)
田原「あのねえ、だいたいねえ、この人をやんないマスコミが悪いんですよ。」
宮田「取り上げてこなかった」
田原「うん、この人は被差別部落のなんとかって言ってねえ、そんでねえ、恐ろしがってんの。なーんにも恐ろしくない、本当は!
高野「タブー視されてきた」
田原「タブー視されてんの。ここが問題。で大谷さんやるんだよね?」
大谷「ええ」
田原「この人は、被差別部落をタブー視しないからできるの。」
高野「だからやっぱり大阪湾に浮かぶかもしんない(笑)」
うじき「危ないですよ、二人とも(苦笑)」
田原「変にねー、マスコミがタブー視する事はねー、逆に言えば差別なんだよ。」
大谷「そうですね」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
■2005年1月30日 サンデープロジェクト
番組冒頭
うじき&宮田「おはようございます。」
うじき「今日はまず最初に番組からのお詫びがあります。」
宮田「はい。先週の放送の冒頭のコーナー。ハンナンの浅田満の特集を説明するくだりで、被差別部落の人達の心を傷つける発言があった事をお詫びいたします。え、まず田原さんの発言ですが、
一つ目は、浅田被告の生い立ちについて触れた事です。
二つ目は浅田被告の犯罪が被差別部落一般と関係があると誤解される発言でした。田原さんからです。」
田原「はい。えー、放送後に、私の古い友人から手紙を貰いました。
えー、手紙には、浅田被告の犯罪は憎む。しかし、えー、浅田被告の犯罪と被差別部落とは別のものである、と。これを田原さんの発言は、結びつけるような、この、ニュアンスがあったと。
えーーーー、大変残念だと。いう、あの、手紙貰って、うーんと思いました。
そしてもう一つ、あたかも被差別部落を取材する事が、困難、タブーだと、いう様な事を、言ったと。
これはもう、あのー全くの間違いであると、いう事を書かれていまして、そうだと。
私はその、差別の問題にはとっても取り組んでるつもりですが、やっぱ私の深層の中でね、
ついそういうものがあったのかなあと、いう事を非常に反省しています。
申し訳なかったと思ってます。」
宮田「高野さんからです」
高野「はい。えー、私の発言で被差別部落の皆さん、そして関係者の方々に、いー、の心を傷つけてしまい大変申し訳ありませんでした。まー、私も、長年、んー人権意識の普及向上の為の活動には取り組んでおり、差別は断じてあってはならないと、また許してはならないという風に思っています。
ま、そういう私が、あー差別と犯罪を関係づけるかのような印象を与える発言をした事に、いー、誠に申し訳なく思っております。えー、申し訳ありませんでした。」
うじき「私にも軽率なところがありました。あらためて深くお詫びします。(深く頭を下げる)」
田原「でもハンナンの問題はヤルんだよな。犯罪は犯罪として、ヤルと。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
この時の3人は廊下に立たされてる小学生かのような印象を受けました。
とりあえずこんな長い謝罪は初めて見た。
田原はうつむいたまま、少しふてくされていた(それが最後の捨てゼリフに繋がった)。
[追記]
あらためてテキストを読み返してみると、政治家の圧力など比較にならないホンモノの圧力の臨場感がひしひしと伝わってくる。
同和問題一つとっても、その根っこは恐ろしく深い。士農工商時代からの怨念の歴史がある。糾弾により腑抜けになったメディアはろくに情報を伝えないから誰もその全貌を把握できない。
現状認識を共有できてないから効果的な議論ができない。
そして人権擁護法案は、タブー視された秘密のベールの上からさらに新しい毛布をかける。これじゃあ悪循環だ。
若隠居さんやplummetさんの意見も発想としてはアリだと思う。というか、「法案が成立したらどーするよ?」ていうのは確かに避けて通れないテーマではある。
しかし、この穴だらけの法案を少々積極利用した位で、日本が長く抱え続けた歴史の闇を解きほぐす力になるのか?と言うと、そこまで楽観的にはどーしてもなれない。タブーをタブーでなくす事。普通に考えればやはりそれが正しい順序だと思う。それだけでも難しい事だが、そっから先もまた難しい。
いずれにしても人権擁護法案通す前に、やるべき事は山ほどあるはず。と思う。
というわけで、私の場合、人権擁護法時期尚早論。もしくは法案細分化してできるとこから法制化論。てところでしょうか。うーん、このネタは難しいっすね。次はちょっと別の発想からアプローチしてみたい。

同和問題についての、ある「証言」

私が個人的に世話になった知人で、仕事の関係で北海道から西日本のとある県に移住したA.Dさん(仮名)という人がいます。私が同和問題の深刻さを知ったのは、数年前にA.Dさんの話を聞いてからでした。昨日、あらためてA.Dさんに電話取材して、移住してからの体験とか、今の日常とかの話を伺いました。以下にそのやりとりを掲載します。
あらかじめ断っておきますが、たいした話ではありません。でもそのぶんリアルなんじゃないかな。現状を探る手掛かりとしての、ある「証言」です。
J2     「A.Dさんはいつごろそちらに移ったんでしたっけ。」
A.Dさん 「2000年の4月くらいです。」
J2     「行く前から、同和問題とかに関していくらか話は
       聞いていたんですか?」
A.Dさん 「ぜーーーんぜん!!全く!!今思えば純真無垢でした。」
J2     「そちらで仕事を始めて、最初はフツーだったんですか?」
A.Dさん 「いえ、もう初日から、”なんか変だ”、とは思いました。
       えっと、ウチの会社の仕事は全部、市からの委託を受けて
       やるんですね。なのでほとんどは委託元の市の担当部署
       の人とのやりとりが多いんですけど、なんか、北海道では
       いないタイプの人が多いな、変わってるな、と。」
J2     「具体的に言うと?どんな感じなんですか?」
A.Dさん 「まず、ものすごく高飛車というか、威圧的なんですけど、
       絶対にこっちの目を見ない。かと思うと突然卑屈になったり。
       何より不思議だったのが、一人一人が私に直接意見を言わずに
       大勢で意見を取りまとめて、その結果を一番若い人間が
       こっちに伝えに来る。これ、必ずなんですよ。何か思ってても、
       絶対直接言ってくれないんです。
       うまく言えないですけど、すっごく妙な感じでした。」
J2     「その部署の全員がそんな感じなんですか?」
A.Dさん 「いえ、全員じゃないですけど。でも全体の雰囲気がすごく
       重苦しくて。」
J2     「それで、結局それは同和と何か関係があったんですか?」
A.Dさん 「勤めて数ヶ月は、何も判らず、ストレスだけが溜まって
       いっちゃって。で、私と同じく県外から来てた友人に飲みながら
       愚痴ってたら、その友人が、”A.Dさん、それ多分同和じゃないか
       な”って教えてくれたんです。」
J2     「それで調べてみたと。」
A.Dさん 「その友人に勧めてもらった『別冊宝島』(注:同和利権の真相
       シリーズと思われる)とか読み漁りました。自分は同和問題とか
       何も知らなかったんで、ショックでした。それで会社の同僚とか
       にも話を聞いて、結局私が出入りしている部署は、職員の半数が
       部落解放同盟の推薦枠だったんです。」
J2     「半分とはスゴイですね。判りやすく言うと職場の人の半分は、
        解同が選んだ人間って事ですよね?」
A.Dさん 「そうです。無条件一任みたいです。」
J2     「当然その枠の人は解雇もできないと。」
A.Dさん 「当然ですね。有り得ないと思います。」
J2     「その人達の仕事ぶりはどうなんですか?」
A.Dさん 「それが、仕事は結構みんなまじめにやってるんですよ。まあ
       中には遊んでるみたいな人もいますが。。。でも割とみんな
       仕事はちゃんとやってます。話に聞くと、ウチの職場はそういう
       意味では、かなりいい方みたいです。」
J2     「じゃあ、職場で、今までに何か事件とかありました?」
A.Dさん 「特に無いです。毎日黙々と仕事をこなすだけです。同和云々を
       口にする人もいませんし。誰がどこで話を聞いてるか判りません
       から。完全にタブーですね。時々息が詰まりそうになりますけど。
       あー、そういえば、JR駅の近くにすごく立派なマンションがある
       んですけど、なんでも世界的なデザイナーさんが設計したっていう。
       そこが被差別部落の人専用のマンションだというのを最近知りまし
       た。皆すごい車に乗ってますし。驚きますよ。
J2     「やっぱり一般の方々はそういうのに反感持ってるんですかね。」
A.Dさん 「それは間違いないと思いますよ。役所の推薦枠にしても、その分
       一般の人が雇用の機会を奪われてるわけですし。
       被差別部落の世帯だと、いろいろな助成金が合計で年間300万
       くらい貰えるらしいですし。」
J2     「最後に近況など教えてください。」
A.Dさん 「地元の人なら平気なのかもしれませんが、北海道とこっちじゃ
       あまりにもギャップが大きくて、別の国にいるみたいです。
       正直、もうとっくに限界で、1年前から会社にも退職したいと
       言ってるんですんですが、代わりの人が見つかるまで、と言わ
       れてまだ辞められないでいます。とにかく一日も早くここを出たい
       というのが正直なところです。」
参考リンク:
別冊宝島『同和利権の真相』
『「同和利権の真相」の深層』(反論本)
マリード[同和行政オブザーバー](フリーライター寺園敦史のHP)

盲人が『象』を語っている気がする

「盲人が象を語る」という話があります。
たくさんの盲人を一頭の象の元に集めて、「象はどんな動物ですか?」と尋ねる。
尻尾を掴んだ者が「細長い生き物でした」と言い、
足を触ったものが「ざらざらした木の幹の様でした」と言い、
鼻を触ったものは「大蛇の様な生き物でした」と言う。
真実を知ったつもりでも、それはある事柄の一面しか捉えていないかもしれない、全体像が全然見えていないかもよー、という教訓の話です。
んで、人権擁護法案ですが。
なんか、ネットでいろいろな意見を聞けば聞くほど、盲人が『象』を語っている気がしてしょうがない。話が全然噛み合ってない
とりあえず、盲人の話をまとめてみる。
Aさん「現在差別に苦しんでいる人にとっては朗報です。これで日本も人権先進国ですね」
Bさん「人種差別撤廃条約に参加した関係で、日本は法整備が急がれているのです」
Cさん「メディアの過剰取材や捏造に苦しんでいる人がたくさんいる。メディア規制はぜひ実現してほしい」
Dさん「これは言論封殺法案です。断固反対ですね」
Eさん「池田大作擁護法案というのは、これですか。冗談じゃないです」
Fさん「常任理事国入りを目指す日本としては、外国向けのアピールが必要なんです」
Gさん「人権擁護委員に国籍条項が無いのが問題。外国人に日本人を裁かせるわけですか」
Hさん「解同と野中古賀ラインが結託して、利権を強固なものにしようとやっきになってますね」
Iさん「みなさん騒ぎすぎですね。人権擁護委員は現行法のもと既に14000人の方がボランティアで活動してるんですよ。知ってました?」
Jさん「この法案で困る人がいるとしたら、ネット上で匿名の庇護の下、誹謗中傷を垂れ流してる輩だけでしょう」
Kさん「人権の定義がそもそも曖昧なんですよ。」
Lさん「VAWW-NETも人権擁護団体じゃなかった??」
Mさん「2ちゃんねるはどうなってしまうんでしょうか?これは史上最悪の悪法です」
まだまだありそうですね。とりあえず疲れる。
つーか、あらゆる立場を超えて
こんな状態のままで法案通しちゃマズイだろ
[追記]
ちょっと補足。
結局、この法案は「詰め込みすぎ」なんだと思う。「人権」という甘い言葉を隠れ蓑に多くの勢力が自分達の願望をこっそり成就しようと殺到しているわけです。
結局一番迷惑を被っているのは日頃まじめに人権に取り組んでる方々なんじゃないでしょうか。もっと要点を絞って複数法案に細分化すべきと思いますがどうでしょうか。個別の議論はその後でいいじゃないかと思います。

『弁護士』と『人権擁護法』

これは見過ごせない。シリアスモードにならざるを得ない。
『IT法のTOP FRONT』:人権擁護法案
『IT法のTOP FRONT』:続・人権擁護法案
小倉先生が、今旬の話題である人権擁護法を持ち出してきた。とはいえ、一発目のエントリー『人権擁護法案』の内容は当たり障りの無いもので、今更小倉先生が人権擁護法案に賛成したからといってさして驚く事もないし、意見は人それぞれだし、という感じで静観していた。
ところが、愛・蔵太氏のTBに応えるという名目で書かれたはずの『続・人権擁護法案』で、先生はものすごい歩幅で踏み込んでくる。自説の「匿名・実名論」に話題をリンクさせた上で最後に先生はこう言う。

はっきり言ってしまえば、人権擁護法案での差別規制が導入されて困るのは、匿名の陰に隠れて特定の者に人種差別的な表現を投げつけて嫌がらせをしている人たちや、匿名の陰に隠れて特定の人種等に対する憎悪を煽ってその者たちに対して差別的な処遇をするように呼びかけたりしている人たちだけではないかと思われます。

先生が高笑いしている。はっきり言わないのが小倉クオリティだったはずなのに、「はっきり言って」しまっている。正直、最初はこれもコメント欄の活性化剤かとタカをくくっていたが、それにしても小倉先生らしくない。ではその真意は何なのか。自分なりに読み解いてみようと思い、『弁護士』と『人権擁護法』の関わりについて改めて調べてみると、なんかこの法案の真のヤバさが見えてきた。(すごい長編になる予感)
まず、そもそも人権擁護法とは何の為の法案なのか。基本中の基本を法案から抜粋。

(目的)
第一条 この法律は、人権の侵害により発生し、又は発生するおそれのある被害の適正かつ迅速な救済又はその実効的な予防並びに人権尊重の理念を普及させ、及びそれに関する理解を深めるための啓発に関する措置を講ずることにより、人権の擁護に関する施策を総合的に推進し、もって、人権が尊重される社会の実現に寄与することを目的とする。

これ、ハッキリ言って反対する人なんていません。少々条文に穴が有ったとしても、ちゃーんと正しい目的に沿ってこの法律が施行・運用されてる限りはさしたる問題は無い。問題なのはこの法律が正しい目的に沿って機能せず、目的外の意図で濫用された場合。余計な事は考えずその観点に絞って検証してみる。
やはり真っ先に問題になるのは、多くの人が指摘しているように、法務省管轄で新たに設置される今法案の目玉人権委員会なるもの。この委員会の信頼性について、小倉先生はこう言っている。『IT法のTOP FRONTコメント欄』より抜粋。

人権委員会の委員は、「委員長及び委員は、人格が高潔で人権に関して高い識見を有する者であって、法律又は社会に関する学識経験のあるもののうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命ずる。」とされているわけで(第9条)、これで「信用がおけない」となるとどういう人なら信用がおけるのだろうかという疑問が生じます。

私もこれは同意。この条件でまさかとんでもない人間が委員に名を連ねるとは思えません。ですが運用を考えると問題が無いわけではない。以下法案第8条より抜粋。

第八条 人権委員会は、委員長及び委員四人をもって組織する。
2 委員のうち三人は、非常勤とする。
3 委員長は、人権委員会の会務を総理し、人権委員会を代表する。
4 委員長に事故があるときは、常勤の委員が、その職務を代理する。

なんと、委員会と言いながら、実は全部で5人しかいない(しかも3人は非常勤)。こんな少人数で本当にこの重責をこなしていけるのか、という疑念が生じてきますね。さらに第15条ではこんな記述も。

第十五条 人権委員会の事務を処理させるため、人権委員会に事務局を置く。
2 事務局の職員のうちには、弁護士となる資格を有する者を加えなければならない

でも一番ヤバイのは人権擁護委員なるものです。特にここに注目。第22条2、3項と第24条。

(第二十二条2項) 前項の人権委員会の委嘱は、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)が推薦した者のうちから、当該市町村(特別区を含む。以下同じ。)を包括する都道府県の区域(北海道にあっては、第三十二条第二項ただし書の規定により人権委員会が定める区域とする。第五項及び次条において同じ。)内の弁護士会及び都道府県人権擁護委員連合会の意見を聴いて、行わなければならない。
(第二十二条3項) 市町村長は、人権委員会に対し、当該市町村の住民で、人格が高潔であって人権に関して高い識見を有する者及び弁護士会その他人権の擁護を目的とし、又はこれを支持する団体の構成員のうちから、当該市町村の議会の意見を聴いて、人権擁護委員の候補者を推薦しなければならない。

第二十四条 人権擁護委員の定数は、全国を通じて二万人を超えないものとする。
2 各市町村ごとの人権擁護委員の定数は、その地域の人口、経済、文化その他の事情を考慮して、人権委員会が定める。
3 都道府県人権擁護委員連合会は、前項の人権擁護委員の定数につき、人権委員会に意見を述べることができる。

たった5名の人権委員会の委嘱を受ける2万人の人権擁護委員。その2万人は市町村長の推薦を受ければよいだけで国籍条項も含めほとんど条件は無いに等しい。そして委嘱を決めるときも弁護士会の意見を聞かなくてはならない事。そして、人権委員会事務局にも、人権擁護委員にも、弁護士だけが名指しで法案に明記されているという事実。
たった5名の人権委員会がどれだけ踏み込んで人権擁護委員の行動をチェックできるのか?
関東圏だけで2千人近い人権擁護委員が誕生する計算になるが、東京だけでいったい何人の弁護士が人権擁護委員になるのか?
そもそも人権委員会+人権擁護委員なる組織はこんないびつな構成で本当に機能するのか?
ちょっと考えただけでこれが運用時にどんな事になるのか、妄想は膨らむ。
ここまでで確実に言えるのは、この法案で弁護士会が大きな権益を手中にするという事。これだけは間違いない。事実上、この法案の施行、運営には弁護士会が不可欠。確かに人権擁護に関して弁護士会は実績を積んできてはいるが、新たに生まれる権限がここまで特定の組織に依存しまくって良いのか。小倉先生が高笑いしたとしても無理は無い。
NHK-朝日問題で声明を出した『報道・表現の危機を考える弁護士の会』などの行動を見ても、弁護士という人種が必ずしも公正・中立で論理的、とは限らないのが明らかになってきている昨今、弁護士が手にするこの権益が濫用されないという保証はいったいどこにあるのか。
「弁護士は信用できない!」とまでは言わない。しかし、どう考えてもこの法案には運用時のチェック体制についての規定が無さ過ぎる。
ちなみに小倉先生による「濫用」についての見解はこうだ。エントリーから抜粋。

それはともかく、今回の人権擁護法案は、人種差別等の禁止に関する部分についていえば、制裁規定が非常に弱いので、2ちゃんねるや一部のブログなどで騒がれているような「濫用」などほとんど起こりえないといえそうです。

なぜ制裁規定が弱い事が、「濫用」の抑止力になるのか。何度読んでも論理的ではない。普通の読解力の人にはこうとしか読めないだろう。
制裁規定が弱いんだから「濫用」されてもどーってことはない
これ、誤読ですかね?どう解釈したらいいんですかね?教えて偉い人!
さらに、今この法案を一番通したがっているのか誰かについても触れておく。
以下は、asahi.com3月5日配信記事より抜粋。

メディア規制「凍結より削除」 人権擁護法案で民主代表
——————————————–
 民主党の岡田代表は5日、愛媛県西条市で記者会見し、政府・与党が今国会に再提出を予定している人権擁護法案で「凍結」とされているメディア規制について「凍結では不十分で、削除が必要だ。一方でメディア規制以外の部分は成立させる必要がある。これから与党側と話し合う中で(メディア規制の)削除を実現したい」と述べた。今月中旬の法案提出後に本格化する与党との修正協議でメディア規制の削除を実現したうえで、法案成立をめざす考えを示したものだ。
 民主党は、02年に人権擁護法案(03年に廃案)が提出された際、対案に(1)報道被害対策は報道機関の自主規制を努力義務とする(2)人権侵害による被害を救済するために新設する人権委員会は独立性を高めるため内閣府に置く――との考え方を盛り込み、メディア規制の削除を求めた。
 今回は「党の考え方は基本的に変わっていない」(江田五月・人権侵害救済法に関するプロジェクトチーム座長)としながらも、友好団体の部落解放同盟が今国会成立の方針を掲げていることもあり、明確な方針を示していなかった。(以下略)

公明党のWEBサイト、「よくある質問」での人権擁護の項では、こんな記述も。

(中略)公明党同和対策等人権問題委員会の山名靖英事務局長(衆院議員)は2月23日に開かれた「部落解放・人権政策確立要求中央実行委員会」の会合であいさつし、同法案について、「日本が人権国家として脱皮するために不可欠な法律。皆さま方の協力を得ながら、何としても今国会で成立させたい」と強調しました。(2005年2月28日現在)

部落開放同盟や公明党がこの法案を通すのにやっきになっているのは、わざわざここで言うまでもなく周知の事実。もちろんある意味においては「擁護されるべき弱者」かもしれないが、本当にそれだけか。人権、平和、差別撤廃など、耳障りの良い言葉の裏に様々な利権があるのがこの国の暗部。
そして、小倉先生へ。
小倉先生のエントリー『続・人権擁護法案』は匿名ネットへの宣戦布告なんだと受け取ります。もちろんそれに対して一定の意義は認めます。無責任な匿名発言への苛立ちもある程度理解できます。しかし、「人権擁護法」をタテにもしそれを行うのであれば、それは『濫用』ではないのですか。
「匿名・実名」の議論において私の再反論に反応しないまま、スルーしたまま先生がそういう事をおっしゃるのは誠に残念です。
最後に小倉先生ご自身が、2005年1月14日に語ったコメント欄の言葉。

弁護士をやっていると、共産党員の友人もいるし創価学会員の友人もいますし、自民党員の友人もいますから、特に含むところはないですよ。

[追記]第二十二条第2項に関する記述を追加。
参考リンクに『若隠居の徒然日記』を追加。
参考リンク:
人権擁護(言論弾圧)法案反対!
「人権」に関しての日弁連のサイトの資料に少し呆れる (愛・蔵太の気まま日記)
人権擁護法案10年史(趣味のWEBデザイン)
人権擁護法案で得する奴は誰だ?(IrregularExpression)
杞憂であってほしい、人権擁護法案への心配 (若隠居の徒然日記)