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小倉氏にきっちりと反論してみる

小倉秀夫弁護士Blogは火がくすぶったまま鎮火の気配を見せません。
2月15日のエントリプロバイダ責任制限法第4条の見直しもコメント欄の書き込みは100件を超えました。
コメントの中には実に鋭い指摘も少なからずあるのですが、不毛な書き込みも多い分それに埋もれてしまっている感があります。このエントリでは、小倉氏の「ネットでの匿名性」に関する見解に「きっちりと」反論してみたいと思います。
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昨今問題となっている「コメントスクラム」という現象にしても、コメント投稿者がblog主に正しい氏名および住所を通知しなければコメント投稿ができないシステムの元では、おそらく発生し得ないでしょう。
—–引用ここまで
「煽りや荒しの抑制」を目的とするならば、TypeKey認証を有効にするだけでその目的は十分に達せられるはずです。それでもなお「正しい氏名住所」を求める必要性について語るのならば、まず「TypeKey認証」では不十分だという証明からしていただかないと議論にもなりません。
そもそもつい最近まで、銀行における預金引き出し被害さえ防げなかった様な状況を考えれば、たかだかBlogにコメントを書く程度の事で「正しい(と証明できる)住所氏名」を求める事がいかに非現実的な話かは自明です。
————-引用
それ以前に、「ある表現を行ったのがどこの誰か」ということをトレースする役割を誰と誰がどのようにして分担するのかについて社会的にコンセンサスが得られていない状態で、匿名による表現に関して特定の役割を演じている者に「ある表現を行ったのがどこの誰か」ということをトレースしなかった責任を不意打ち的に負わせることに問題があると私は主張しているにすぎません。
—–引用ここまで
ネットでの匿名性についてしばしば小倉氏は問題視しているようですが、既存のコミュニケーション手段と比較してインターネットほど情報経路のトレースが容易な媒体はありません。オンラインの情報は突き詰めれば全てTCP/IPパケットに過ぎないわけですから、技術的には全てトレース可能です。だからこそ相応の理由の見当たらない安易な情報開示はプライバシー侵害でしかなく、民事上の不法行為等の用件に限定されるのは至極当たり前の話と感じます。というか上記の通りTypeKey認証で事足りる話なんで、このあたりの議論はいささか「的外れ」な感じがします。
————-引用
 ただ、何人も、匿名性の陰に隠れて闇討ちされることを──それが名誉毀損や侮辱、営業妨害、プライバシー侵害等「一線を越えた」ものとなるなどの特別の事情がない限り──甘受しなければならないというのはおかしいのではないかと私は思います。
—–引用ここまで
コメント欄を無効にする、トラックバックを受け付けない、TypeKey認証を導入する、名前とメールアドレス欄の入力を必須とする、、、等等、これらの選択肢をBlog運営者が持っているにも関わらず「甘受しなければならない」と言い切る論理が理解できません。それらの選択肢を有してなお、法律の改正を正当化するに足る理由があるのか疑問です。実装済みのセーフガードを解除する事をBlog主が自ら判断した場合、ある程度のリスクを覚悟するのが一般人の常識と思いますが。
————-引用
真摯な議論は、議論の両当事者が正面から向き合ったところでこそよく行われるものであることを考えるならば、他人を批判する以上、その批判の対象となっている人に、自分がどこの誰であるのかを知らせることは、ネット上での議論の真摯性を促進する上でも役に立つといえそうです。
—–引用ここまで
「真摯な議論」とは何でしょうか。客観的な評価などできない話ですよね。少なくとも「法律論」と同じ次元の話ではありません。「モラル」の話であれば、Blog主が「真摯」にコメント欄の意見に対応する事こそが「真摯な議論」の第一歩だと思いますがそのあたり小倉氏はどう考えているのでしょうか?
————-引用
この点、現行プロバイダ責任制限法第4条は、情報発信者をトレースするために誰がどのような役割を分担するのかということを全く規定しておらず、また、発信者情報を開示するための条件が厳しすぎるので、この点については見直しを進めるように運動をしていこうかなと思います。
—–引用ここまで
役割分担という意味では、トレース可能な情報のほとんどはプロバイダが持つわけですから、ログファイルの保持期間など、具体的な規定を定めていけば済む話のような気がします。
一方で、無線LANアクセスポイントや、インターネット喫茶などの「開かれた入り口」
でいかにトレーサビリティを確保するかが、抱えている問題としては深刻だと考えてます。(つまりトレーサビリティを阻害するのは、ほとんど「オフライン要因」なのです)
ところで2月13日のエントリーにて、小倉氏は「匿名ブログで批判したり、」と発言しています。匿名ブログとは誠に奇異な表現だと感じます。Blog主のプロフィールなどが曖昧なものを指しているのでしょうか??ネット上での住所・IDであるURLを晒して発言しているBlog主に対して「匿名」というのもナンセンスな感じがしますが、痛くもない腹を探られるのも不本意ですので本エントリーをTBした上で、小倉氏にはメールにて実名、勤務先までお伝えするつもりです。
====追記====
コメント欄にも書きましたが、小倉氏ご本人からメールを頂きました。
2月23日以降に新エントリーにて反論していただけるとの事です。

「小倉氏にきっちりと反論してみる」への12件の返信

大量コメントがいやならブログなんざやめちまえ

大量の匿名コメントがうるさければ、ブログをやめれば済む話だよ。普通のサイトをやればいい。ちがう?ブログをやる以上、そのリスクは誰にだってある。それにどう対処する…

こんにちは。
トラックバックさせていただいたのですが、「道徳から見た云々」は間違いです。削除してください。申し訳ありません。ごめんなさい。
「ある東大生」のところで、ある御住職が彼をお叱りになってましたよ。「これだけの人が言うてくれてもまだ分からんか。わたしのことも、荒らしや2ちゃんねるの住人と一緒にして、聞く耳を持たんのだろう。」と。で、ご自分のご経験にもふれられて。私は涙がこらえ切れませんでした。
私は、このエントリーに賛成です。
ご健闘をお祈りします。

まだWWWが登場する以前の日本のインターネットでは、企業や大学などによる実験ネットワークという形態をとっていたため匿名性はほぼ皆無でした。
そんな中多人数のコミュニケーションツールとして使われていたNetnewsの国内最大のものが「fj」でした。
そこではほぼ全員が、本名と所属をがっちり明記して、さまざまな議論を行っていたのです。
では記名前提の世界では、誹謗や中傷は存在しなかったのでしょうか?
1対100のような圧倒的な人数差でコメントが同時に発せられることは無かったのでしょうか?
とんでもない。たしかに大部分においては理性的なやりとりが行われるのが常でしたが、一旦論争の炎が燃え上がれば、そこは罵倒と非難の嵐でした。
まあ高学歴な大人ばかりの世界だったので、その舌戦はどちらかというと複雑高度で上品な傾向にありましたが、名誉毀損や侮辱は珍しいものではありませんでした。
「当事者同士が匿名性を排すれば自然と真摯な議論が形成され批判的な言説が集中することがない」という考えが幻想であることを証明するには、fjの事例をもってすれば充分といえるでしょう。問題は別のところにあるのです。

小倉氏からメールをいただきました。
当エントリーに関しては、来週水曜以降に新たなエントリーを起こして反論していただけるとのことです。
誠実な対応に感謝すると共に、反論が実に楽しみです。
>若隠居さん
ありがとうございます。
ある東大生さんのところで、そのような書込みがあったのは知りませんでした。さっそくご住職の書込み読ませていただきました。確かに心に染みますね。いろいろなことを考えさせられます。
>cyanoさん
はじめまして。
まさにおっしゃるとおりですね。論争の炎が燃える中で、正直著名でも人格的に尊敬できない方々を、fjなどでは過去たくさん見てきましたよね。
小倉氏の場合、いまだに「ある思想集団からの執拗なコメントスクラムを受けている」事を前提に話を始めるので、立脚点がすでに間違っています。なぜその部分をご自分で再検証しないのか理解に苦しむところです。

私が御住職の例を出したのは他でもなくて。
あの「東大生」はわたしゃほっときゃいいと思うんです。だけど、御住職は67歳の住職と明らかにされて、率直に、いわば人生をかけてあの「東大生」に語りかけられましたわけです。で、御住職のお話に「ネット右翼」とか「コメントスクラム」とか、レッテル張りができるだろうかということなんです。ましてや、いい意見もあるけどノイズに埋もれてしまうなんて言えるかと。
御住職は、いわば「東大生」の真摯な読者です。真面目に誠実に対応してらっしゃる。それに対しては、無茶苦茶をやった「東大生」が悪いわけです。
ひるがえって小倉さんはどうか。それまで、真面目に誠実に真摯に、小倉さんのエントリーを読んでらした人は多いはずです。そして、誠実にコメント欄に書き込みをした人も多いのです。それに対して、小倉さんはどうだったか。
御住職のコメントを読んで、そこに想いがいたったし、同時に自戒にもなった次第です。

>若隠居さん
>あの「東大生」はわたしゃほっときゃいいと思うんです。
同感です。どー見ても彼は東大生じゃないですよ。相手にするにはレベルが低すぎます。
>ましてや、いい意見もあるけどノイズに埋もれてしまうなんて言えるかと。
この点についてはちょっと異論があります。コメントの母体数が増えてしまうと、どんなに素晴らしい書き込みも見逃してしまう確率が増えてしまう。現に私も若隠居さんに教えていただいて初めてその書き込みの事を知ったわけです。そーゆー問題は現実としてある、と思います。
それ以外は若隠居さんに同意です。正直、あの書き込みを読んで私も「自戒」になりました。
相手が礼を失するからといって、こちらも同じように振舞うのは間違っているのかもしれません。

小倉さんが反論のエントリーをかくと思います?なんだかお忙しいらしく、きっちり反論文を書くのに時間がないんだそうですよ。一方でJSFさんとどんぱちやるそうだし、、、今までのパターンから言うと、なんだかんだ言ってかかずに済ましてしまうような。。。

若隠居さん>
>小倉さんが反論のエントリーをかくと思います
思いません。
「先生」って呼ばれる方には、自分が間違ってたと思ったら
、、あえてその間違いを認めない方は結構いますので、
そのパターンだと思います。
でも、私はそれでもいいと思いますよ。

小倉先生の回答に対する反論は、あちらのコメント欄ではなく、新しいエントリに書いてトラックバックしたほうが、J2氏にとってもやりやすいのではないかと思いました。
一意見として書きこみさせていただきました。

>若隠居さん
>小倉さんが反論のエントリーをかくと思います?
ご存知とは思いますが、反論エントリありました。私なりにベストは尽くそうと思いますが、この先どうなるかは良くわかりません。少なくとも私の方から過度に挑発したりはしないようにするつもりです。
>Amiさん
>でも、私はそれでもいいと思いますよ。
幸い約束は果たされたようです。私の再反論に対してどこまで真摯に対応していただけるかは予断を許しませんが。
>moon様
はじめまして。アドバイスありがとうございます。
状況を見て臨機応変に対応していく所存です。ただ、小倉氏はこれまで殆どのTBをスルーしています。切込隊長氏への反論も結局うやむやですし。
一方でコメント欄ではごくまれに反応を示しますので、コメント欄での反論を優先してみた次第です。
とはいえ、おっしゃる通りそろそろTBに切り替えた方が良いかも。。。。

突然の投稿をするご無礼をお許し下さい。
小倉先生は、数回にわたり、コメント欄で「J2」様以外のコメントをバッサリ削除されてます。
その御時間を「J2」様への反論にお使いになればと思いました。

>通りすがりの法曹様
はじめまして。正直あなたの様な真摯な内容のコメントが削除される光景は初めて見ました。
あそこに自分の書込みだけが残るのは最早「恥」以外の何ものでもありません。小倉氏はそれが狙いだったんでしょうか。
今回また小倉氏の性根が明らかになったような気がします。
何はともあれこのような書込みが励みです。ありがとうございました。

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