「JAVA村」と「Perl村」の断絶がもたらすのは不幸なのか幸せなのか



私も1月15日にブクマした「業務経歴書にPerl案件を書くと馬鹿にされる件」に関するessaさんの言及に対して、ちょっと反応しておこうと思う。
「JAVA文化とPerl文化の断絶」については、essaさんの記事と、そこからリンクされている記事でほぼ語りつくされてるのだが、「この問題の根の深さ」について少し別の視点から語っておきたい。
Java文化とPerl文化の断絶について語られる時、それはほとんど「開発者側」の視点からなのだが本当に深刻な断絶はそこよりも、「マーケット」の断絶だと思う。
世のシステム系企業を「JAVA村企業」と「Perl村企業」に分けた場合、当然どちらの企業にも「クライアント」が存在する。ところが、JAVA村企業とPerl村企業が1つのクライアントに対して競合するような場面というのは極めて稀で、「ビジネスマーケット」そのものが交わる事無く分断されているのだ。
ちょっと乱暴な括りになってしまうかもしれないが、大雑把に、JAVA系マーケットはビジネススケールが大きい大資本が中心で、Perl系のマーケットはビジネススケールが小さい中小企業やベンチャーが中心だ。
だから大企業は当然JAVA系マーケットを中心に商売をし、受注規模は安くても数百万、主に数千万から数億という規模。逆にPerl系マーケットは限られた予算の中でWEBビジネスを始めたいクライアントが中心だ。
で、問題は2つあって、1つはこのビジネススケール格差が本当に妥当なのかという点。もう1つは、クライアント側は必ずしもこの2つの文化圏の存在を正しく認識していないという点だ。
象徴的な例を1つ挙げよう。
ある通信系大企業が北海道の小さな町役場に、掲示板システムを納入した。その町役場は高価なWEBアプリケーションサーバを買わされ、掲示板はフルJSPで開発された。
この事実だけで、発注額が数百万規模である事は想像がつく。
その掲示板を実際に見てみると、それなりに多機能ではあるが悲しいくらいにただの掲示板だった。書込みは、町役場の掲示板にしては多い方だと思ったがそれでも1日平均3~4件。ミッションクリティカルもスケーラビリティも糞も無い。
これはさすがに極端な例かもしれないが、実際JAVAアプリケーションサーバーなど導入しなくても事足りるようなJAVA案件がたくさんあるのは確かだ。
はてなの各種サービスやmixiがPerlで書かれている事実を見ても判る通り、オープンソース系のアプリケーションが成熟の域に達してきた昨今、Perl/PHPやMySQLでかなりのレベルのニーズにまで対応できる。
もちろんJAVAやOracleが選択されるにはそれなりの根拠もあろう。しかし、WEBLogic + Oracleの見積もりと、Perl + MySQLの見積もりを並べてそれぞれのメリットデメリットを正しくクライアントに提案する企業などほとんど皆無だ(あるとしたら、それは素晴らしい企業だ)。
結局JAVA村企業のクライアントは、Perl村の事を知らされないか、知っていてもJAVA村企業に植えつけられた偏見を信じ込むかどちらかになる。これは少なくとも、「クライアントにとっては」不幸だろう。
JAVA村の企業が自ら価格破壊の波を受け入れるのには勇気がいるのも理解できる。「Perlも素晴らしいよね」、などと口が裂けても言えない会社もある。単なる知識の問題ではなく、それがビジネススケールと直結するからこそ、彼らは素直にPerlを受け入れる事が出来ない。
だから面接担当官が
「うちは Javaで飯食ってるので、そういう低レベルな言語を得意げに話されても困ります」
なんてセリフを吐いたとしても、それはそう思わなければ現在のビジネススケールを維持できないJAVA村企業故の反応なんだと思う。
じゃあ、JAVA村とPerl村の断絶が無くなる事が良い事なのだろうか?
話はそう単純でもない。
もう2年前近くの記事になるが、CNETの「MySQL、データベース界の「ホンダシビック」となるか
という記事が面白い。以下抜粋。

Marten Mickosは2000年にMySQLの最高経営責任者(CEO)に就任すると直ちに、既に地位を確立している大手のプレイヤーに戦いを挑むかわりに、ユーザー層をできる限り広げることに同社のエネルギーを集中させた。

 「私が最初に言ったのは、『Oracle打倒なんて考えるな』ということだった。直接対決となれば、彼らはかならずやり返してくる。われわれは、いかに新たな市場にサービスを提供するか、新たな市場を作り出すかという尺度で成功を測らねばならない」とMickos。

Oracle+JAVAという組み合わせは、エンタープライズ・システムの象徴としてPerl+MySQLと対照的な存在だ。
要するに超訳すると、MySQLのCEO Marten Mickosは「JAVA村を刺激するな」と言ったのだ。
JAVA村の巨人達がPerl村に偏見を持ってくれているからこそ、多くの弱小ベンチャーがWEBで生き残れる余地がある。彼らが本気でPerl村マーケットに参入してきたら、ひとたまりもない。私自身、元大企業勤務の身として、Mickosの言いたい事が判る気がする。
JAVA村とPerl村の断絶は、必ずしも不幸ではない。むしろJAVA村の強者達から弱小企業を守る柵なのかもしれない。

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「「JAVA村」と「Perl村」の断絶がもたらすのは不幸なのか幸せなのか」への5件のフィードバック

  1. 結局はクライアント側が自分の所ではどっちの村に仕事発注するのが適切なのか勉強しなくちゃいけないって事なんでしょうね。
    …でもそれって難しいだろうなぁ…
    WEBの上にあるものなんかみんな同じに見えるって人、まだまだかなり多いもんなぁ…

  2. JAVAもperlもPHPも何でも屋でやって来た人間にとっては、ばかげた話。
    まともなユーザーが育つには、それこそまだまだ時間もかかるだろうし、それを我々がきちんと肩代わりして、適度なソリューションを提供出来ないと、悪いうわさだけが先行して、下流の俺たちまで割りくっちまうって事をもう少し上の方は考えて欲しいと思うんだがなぁ…。
    J2さんなら知ってると思うけど、3年前道内を吹き荒れた巨大なJAVA+Oracleシステム構築が有ったけど、あれが必ずしも正しい選択だったかと言われると、未だに??(w。
    ま、動いてるシステムだから良いけどw。
    そのときに、Perlなどのソリューションに偏見を持ってやっている会社のスキルが本当に妥当か?って話もあったのを思い出して、ちょっと…w。
    せこせこした組込屋の脳みそには、連中の態度は堪える物ばっかでしたわw。

  3. あんま詳しくないんであれですけど、ちっさい案件は、JavaでやってもPerl or PHPでやってもそんな工数変わらんですよね。そもそも、ちっさい案件は、安いSEをアサインできるし、PGの人件費なんて、たかが知れてるし。あと、ちっさい案件をJavaでやることもわりと多くないですか? 新人君の育成も兼ねて。詳しい人教えてください。

  4. 一時期流行ったJava・・・
    なんだったのでしょうか。
    Javaにはかなり苦い汁を吸わされましたよ。
    当時は初めてのウェブの仕事ではしゃいだのですが、
    あの苦しみは一生忘れませんw
    で今まさにTomcatを自鯖に入れようか悩んでます・・・

  5. Javaはもうそろそろ終焉の時期では?
    そもそも、エンプラ系ポストCOBOLでしかないので、所詮そこまで:-P。
    対して、Perl、PHP、Rubyは裾野も広いし夢があるよね。

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